■ダウン
柴田が、完全にダウンした。この日に泊まるホテルは、今いるホテルとは別のホテル。でもさっさとチェックインして寝ていたいと言い出した。重傷である。一人をおいてサイコロをしても面白味に欠けるので、サイコロ合宿は前日を持って終了、と相成った。
天気は土砂降り。日本の首相による、靖国神社参拝に対する集会が目の前の釜山駅広場で行われている。今、外に出たら生け贄にされるのではないか、という心配が脳裏をよぎる。
ともかく、先ずは胃の中身をすっかり押し出してしまい元気のない柴田を元気づけようと、朝食を求めて街に出ることにした。
■生け贄
に乗りたかった。ので、地下鉄の方が便利にも関わらず隣の駅まで鉄道に乗ろうと切符売り場へ。ところが韓国は切符の販売が対面販売。自動販売機ではない。が故に、「地下鉄の方が便利だよ」と言って、なかなか切符を売ってくれないのである。仕方なくタクシーで移動することにした。
で、タクシー乗り場。
おっちゃん「日本人?」こうして、無事我々は現代百貨店にたどり着けたのであった。
神「ハイ」3名:やばい、目の前でやってる対日本の集会の生け贄にされる!!
おっちゃん「どこ行くの?」
神「現代百貨店」3名:???
おっちゃん、タクシーの運ちゃんに「○×>現代*?@・・・(こいつらを現代百貨店に連れて行ってやってくれ)」
■ショッピング
韓国上陸4日目にして、初めてショッピングなる物をしてみむとてなり、という感じ。
ではない。あくまでも朝食食べに、そして、着替えのなくなった神のTシャツを買いに百貨店にやってきたのだ。お土産なんて、とんでもないのである。
ところが、適当な店が現代百貨店には存在せず、ロッテ百貨店に進路転換した。
ロッテ百貨店でも一目散に目指したのは、売り場の上の食堂コーナー。日本人客が多いと見え、3分の1は日本人相手の和食の店だった。しかし、グルメを堪能する今回の合宿は、あくまでも韓国食にこだわり、「韓国式うどん」を食べに店に入った。韓国にうどんがもともとあったのか、日本のうどんが韓国に上陸し、韓国式になったのかは定かではないが、とりあえず“うどん”に“餃子3種類(焼・水・蒸)”を注文。朝から、といっても11時をとっくに過ぎていたが、豪勢な食事となったのだ。
しかし、このうどんにわずかに入っていた辛い何かが柴田を直撃。またもやトイレに駆け込むこととなってしまった。
■DUTTY FREE
この合宿で初めて足を踏み入れた。神だけが用があり、原・柴田ははなから買う気ゼロ。神が買ったのは、会社の同僚に頼まれたというルイ・ヴィトンのバック。あと、土産コーナーでのくじ引きを引くために(一定額以上の買い物が必要)、神と原が韓国ノリのセットをちょっと買った程度。合宿が目的だけに、買い物は必要最小限なのだ。
■キムチ
食事の度にキムチが勝手に出てくる。これは喫茶店においても同様か?ケーキにもキムチが入っているに違いない、という我々の2つの仮説を検証しに、百貨店の喫茶店に入った。そしてそこで出た結論は・・・
メニューにケーキがない不戦敗である。
■垢すり
ロッテ百貨店で一通りの用を済ませた我々は、最後の宿となるホテルに向かった。柴田はそこでひたすら寝込むことになる。そこで、原と神は“垢すり”に出かけることとした。そして、また「Japanese
OK?」で、予約を取り、店へ向かった。
旅の恥はかきすて
という言葉がある。これを地で行ってしまった。“高麗汗蒸幕”が今回向かう店舗名。
確かにこの看板のある建物に我々は入った。
が、雰囲気がおかしい。
普通のマンションみたいなのである。
その前に、ちょいと解説しておかなければならないことがある。温泉マーク。地図や温泉地に行けば目にするあのマーク、韓国でやたらと目にするのである。市街地でも、そして高速のI.C.周辺でも。そこで我々はある仮説に辿り着いた。
仮説:韓国において、温泉マークはラブホテル、を意味しているそして、この“高麗汗蒸幕”には確かにこの温泉マークありの看板と、なしの看板があり、我々は今そのマークのある方にいる。とそこに店員登場。男二人組を見る無い、ビックリしているではないか!当然我々もビックリなのであるが・・・
そう、我々の仮説は検証されたのである。
○:韓国において、温泉マークはラブホテル、を意味しているなのだ。
そりゃぁ、驚くよね。男二人でこんなところに来れば。韓国だけでなく、日本においてもそりゃぁ、驚くさ!
原はそこで思ったのである。
男三人で来ていたら、店員は腰を抜かしたに違いない検証したくもないので、検証はしないで帰国したことは言うまでもない。
■あれ?*∞
垢すりの客であることはお互いすぐにわかった。
が、ここからの店員の対応が極めて不自然。客が来たことに慌てふためいているのである。
予約したのに、予約客であるかの確認もしない。
しかも、ラブホテル併設。
“るるぶ”に載っている店だからと信用してきたが、裏切られたか?との思いが脳裏をよぎる。
垢すりをするために服を脱げという。ここまでは良いのだが、脱いだあとに履けといわれたパンツが一人分しかない。神が先に履く。が、これが完全に乾いて折らず濡れている。そしておそらく10分は脱衣場で待たされたであろう。ようやく原の分のパンツが到着する。また、濡れている。
脳裏をよぎるのは、“失敗した”・・・・・ということだけ
次に垢すり担当者が一人登場。おぃおぃ、こっちは二人もいるんだぜ。どーすんの?
体を自分で洗えって?わかったよ、洗うよ。
え?このベッドの上で仰向けになれって?
遂に垢すりスタートだね。
なぬ?キュウリ?顔に塗るの?げげげ、きもちわる〜。
というわけで垢すりがスタートするのであった。
が、原が先に垢すりを体験している間、神はぼけーと広い風呂場でポツンと座っているだけ。
暇そうである。いや、暇、そのものである。
で、体を洗ってくれたりマッサージしてくれるのはよいのだが、垢すりはいつのタイミングでしてくれるのだろう?
なんか、今、結構いたいブラシみたいので体をこすられたのだけど・・・
こうして原の垢すりは終わったのである。
結局垢は全く出なかった。
プラス3万W(日本円で約3000円)で足ツボマッサージもうけることになっていたのだが、足のマッサージも併せて全部で5分弱。マジ?
とにかく、終わっちゃったらしい。
そして神の番。
原は暇暇なのであった。
こうして二人の“垢すり”と“足ツボマッサージ”は幕を閉じた。
■日韓の緊張、一気に頂点に!?
垢すり・足ツボマッサージの幕は閉じた。
がこれは同時に新たな幕開けであった。
原と神が服を着てロビーに出ると、店員が「あれ?どーしたの?もう出て来ちゃったの?」という顔をする。
おぃおぃ、その顔をするのは、こっちのはずでお前らがすることではないだろ?
そう、開幕である。
店員その1「垢すり・マッサージは終わったのか?」我々は漢字が通じることを学んでいる。目の前にあったホワイトボードに
垢→終と書いた。
足→未
店員その1、焦る。担当者を捜しに走る。
原・神、またもや待ちぼうけを喰らう。
店員その1&2(2は担当者)「マッサージの続きをやるから、向こう(部屋)へ行ってくれ」考察してみよう。
それは、マッサージをしていないからこの結論に辿り着くには時間はいらない。というか、当初からこの結論は出ているのだ。
返金 30000W3万Wの根拠はこうである。垢すりだけなら3.2万W、足マッサージはプラス3万Wと言われいたからである。
店員その1「返金、不可能」遂に神、そして原、怒り頂点に!
ここから先は、とにかく徹底したバトルを展開した。
が、原と神には唯一気になることがあった。
彼ら(店側)が援軍を呼ぶのではないか?、ということである。
援軍とは、この店に来る前に、店の目の前で対日本のシュプレヒコールを上げていた人々である。総勢30名前後。
彼らが加勢するとなると、一気に原・神連合軍は劣勢になる。まずい、でも、引けない。
結論としては、援軍は既に場所を移動していたらしく、加勢してくることはなかった。
しかし、戦闘は膠着状態。にっちもさっちもいかないのである。
そこで、我々は最終カードを使うこととした。
「社長を出せ!」相手は動揺した。そこで一気に畳みかけるようにした。
社長を出せ、この場にいないなら電話しろ。つながったら俺が話す。これは結論的には相当効いたようである。
店員その1「携帯電話がつながらない」等のすったもんだの末、遂に連絡が取れた。
原・神「つながるまで電話しろ」
神「金返せ」相当こちらが強行であることは社長も理解していたらしく、これはすんなりと解決に向かった、かに見えた。
神「一人分しか帰ってきてない。もう一人分を返すよう、従業員に指示しろ」こうして戦いは幕を閉じたのであった。
■検証
戦いに勝った我々は、先勝報告をすべく、ホテルに帰った。が、柴田は重傷のようだ。
鍵を閉じたまま、返事がない。
仕方なく、我々はあの仮説の検証に向かった。
仮説1:食事の度にキムチが勝手に出てくる。これは喫茶店においても同様であるケーキのある喫茶店を見つけ、入店。
仮説2:ケーキにもキムチ(またはニンニク)が入っている
原が注文したケーキは“Cream Chese Mousse”。なんと、ハート形のケーキ。写真に収めていないのが悔やまれてならない。
それはともかく、検証は終わった。
検証1:喫茶店ではキムチは出てこなかった。偏見は良くない。実に有意義であった。
検証2:ケーキにはニンニクはなかった。ケーキは万国共通のようである。
ちなみに、我々が入店した喫茶店は「〜CAFE」というスターバックスみたいな所である。
韓国の地元の喫茶店ならばキムチが添えられたり、ニンニク入りだったりするかもしれない。
この更なる検証は次回の合宿の必須課題とする予定である。
■夜の釜山
柴田は、最後の晩飯をとることができないほどに弱っていた。天罰とは恐ろしいものである。
原と神は焼き肉で駄目押しをしようと、“青林”というお店へ焼き肉を食べに行った。
で、食後、かねてからの課題であった韓国の居酒屋事情をリサーチしに、ガイドブックに載っていないお店へ突撃することとした。
が、日本と特に変わることはなかった。
注文は、英語表記があったので、問題なく済んでしまった。
キムチは出てこなかった。
周りはみんな韓国語を話していた。
おかげで、会話と言うよりも、BGMを聞いているような感じだった。
神「僕の後ろの人たち、何話してるんでしょうね?」変なこと聞いてくる奴である。
原「う〜ん、とりあえず、夫婦とどっちかのお母さん、の3名構成って感じかな?で、今のところ夫婦げんかをしているみたいだよ。」
神「で、お母さんはどんな表情してますか?」
■notミスター、butマスター
居酒屋を制覇した我々が次に目指したのは、「BAR」。
勇猛果敢にまたもや突撃を試みた。
そして、BARで男二人、素敵に完敗しあったのである。
ここでは次の合宿案について二人で熱い議論を交わした。
その中で
神「原さんは、ミスターではないですね。まだまだマスターです。」原は、この合宿において、神や柴田に対し彼としては最大限の配慮をしてきたつもりである。それなのに、
原「・・・(絶句)」※「水曜どうでしょう」においてミスターは重要なキーマン。旅の企画を担当、常に自爆する役回り。この番組同様に“ミスター”と呼ばれることは最高の名誉であるが、それを否定されているということは原にとっては、人間であることを否定されているのと同義なのである。ちなみに前回の“ウナギ食べ比べ合宿”において、原は神と山本に「人間以下」の烙印を押され、へこまされている。
神「徹底度が足りません。」原が“むか〜っ!”と来たのは言うまでもない。
神は結局この店で4杯も飲み、どんどん発言がエスカレートしてくる。Angel Kissなるカクテルを頼んだ神は
神「あのかわいい店員が、僕にキスをしてくれるカクテルなんですよ」なんてバカなことをほざいている。そして原に攻撃を仕掛けてくる。
こうして、この議論は決着がつかないまま翌日を迎えるのであった。