水曜どうでしょうパート『中米・コスタリカ 幻の鳥を激写する』2004年3月

ケツァール激写に成功した興奮に酔いしれている中、まだまだトレイルを続行するのであった。
しかし、夕暮れであることに変わりはないので、あと10分だけトレイルを続け、10分後にホテルへ引き返す、こととした。

ケツァール遭遇から5分が経過した。

ガイドなしでのケツァール遭遇という奇跡が早々、続くはずはない。
そう諦めかけた瞬間であった。

○※△◇#

例の声である。

近づいているのである。

そして、

また、

視界に「入りました!」

先ほどの1羽がまた目の前に現れたのだ!
ただし、声はするものの、もう一羽は視界に入らない。
とにかく後は、撃つだけである。

「撃ちました」

costarica-14.jpg

感無量である。

もう、激写成功すると、心に余裕が生まれる。
帰り道は、楽チンなものである。

恐らくここに間違いない、という場所で記念撮影をするのである。
本家「水曜どうでしょう」班がTV番組中で「引き返して釣りでもしよう」と決断したポイントである。
完全に勝ち誇った気分で記念撮影をするわけだ。
実に気分が良い。

ホテルに着くなり、加瀬さんに報告するわけである。
激写成功、をである。
加瀬さんは後日、自身のHP(2004 年3月7日:2泊3日がこの旅に該当)で報告している。ご一読あれ。

で、加瀬さんである。
素人だけでのケツァール遭遇に、少々肩を落とし気味であった。
嫌がらせをしているわけではないだけに、可哀想であった。


というわけで、ケツァールに遭遇できませんでした。
というのは真っ赤な嘘なのであった。
ケツァールの写真は、絵はがきを撮影したものなのだ。
だははははは。


2004年3月8日午前

いよいよ、ガイドをつけてのケツァール探索である。

ホテルから離れた農場へ向かう。
この農場の持ち主、ケツァール・ハンターの異名があるらしい。
期待大である。

早速、探索開始である。

5分が経過した・・・・・・・

10分が経過した・・・・・・

15分が経過した・・・・・・

○※△◇#

おぉ!聞き覚えがあるぞ!この声。
早速加瀬さんに聞くわけである。

ケツァールですね!

加瀬さんは落ち着き払って、こう答えるのである。

私の口笛です

と。


20分が経過した・・・・・・

と、ケツァール・ハンターから不思議なしぐさをするではないか。
期待で胸がバクバクなるのである。
すると、ケツァール・ハンターは言うのである。

今日はここには来そうもないね

えぇ!?
なぬぅ!?
来ないだぁ!?

以上、終了である。

と、ケツァール・ハンターはバイクに乗り出すではないか。
どうやら、ケツァールを見つけられなかったために、逃げ出すことを決意したらしい

と思ったら、
別のポイントに移動するのだという。
さすがである。
プロである。

次なるポイント。
いきなりである。
「あそこを見ろ」
とケツァール・ハンターは指を指すのである。

巣があるという。
そこに、今、雄がいると言うではないか。
シャッターチャンス、である。
と、
姿が見えない。
そのはずである。
尾っぽしか見えないのである。
頭隠して尻隠さず
とは、まさにこのことである。

costarica-16.jpg

そして、ケツァール・ハンターはさらに続けるのである。
「待て」
と。
曰く、
今は雌が食事中なのだと。
じきに戻ってきて、雄と入れ替わる、
と。
特ダネである。

ケツァール・ハンターはそう言い残すと、自らの使命終了と判断し、帰っていくのであった。

というわけで、持久戦の開始である。
待つ
のである。
ひたすら、
待つのである。
加瀬さんは、岩の上に横になって、寝始める。

別のヒゲのケツァール・ハンターが若い女性に名を引き連れてきた。
彼も、ケツァールの巣の存在を知っているようだ。

未だ待つ状況であることはかわりない。
どれくらい待っただろうか。

○※△◇#

あの声が聞こえるではないか!

早速加瀬さんに聞くわけである。

ケツァールですね!

加瀬さんは落ち着き払って、こう答えるのである。

私の口笛です

と。

再びである。
敗北である。

また聞こえるわけである。

○※△◇#

二度あることは三度あるのである。

口笛である。

無視、である。
無視、に限るわけである。
だから、無視、を決め込もうとすると…

ヒゲのケツァール・ハンターの様子がおかしい。
加瀬さんも様子がおかしい。

と、

入りました!

ケツァール、である。

遂に、雌が帰ってきたのである。

まだ、木陰に隠れている。
自分視界には、まだ、入らない。

と、ケツァールが移動したらしい。

「はいりました!」
「ピピッ! カシャッ!」
「入ってます!」
「ピピッ! カシャッ!」

再び、激写成功である。

costarica-17.jpg

「ピピッ! カシャッ!」
「ピピッ! カシャッ!」
「ピピッ! カシャッ!」
「ピピッ! カシャッ!」
「ピピッ! カシャッ!」
「ピピッ! カシャッ!」
「ピピッ! カシャッ!」
「ピピッ! カシャッ!」
「ピピッ! カシャッ!」
「ピピッ! カシャッ!」
「ピピッ! カシャッ!」
「ピピッ! カシャッ!」
「ピピッ! カシャッ!」
「ピピッ! カシャッ!」
「ピピッ! カシャッ!」
「ピピッ! カシャッ!」
「ピピッ! カシャッ!」
「ピピッ! カシャッ!」
「ピピッ! カシャッ!」
「ピピッ! カシャッ!」

costarica-18.jpg

ここぞと言わんばかりにシャッターを押すのであった。

こうして、ケツァールとの遭遇を再び果たすことができたのである。

飛ぶ姿はやはり撮影することができなかった。
しかし、頭上を長〜い尾っぽを見せびらかすかの様に飛んでいく、という加瀬さんも「今まで見たことない」という程の美しい姿を披露してくれたりしたのであ る。

こうして、幻の鳥の激写は成功に終わったのである。
少なくとも、この時点では。
そう、信じていたのだった…


2004年3月8日昼間

ケツァールとの遭遇と激写。
これに成功したら、もう、余裕である。
ケツァールは朝方と夕方に活発に活動する。
昼間はあまり遭遇できないのである。
ということで、きれいな滝を見ようと滝トレイルに出かけた。
さらに、馬にも乗って山登りをしてみた。
完全に本題を忘れ、観光客気分に浸ったのである。


2004年3月8日夕方


再び鳥が活動を活発にする夕刻になった。
ケツァール遭遇との確率が高まる時間帯である。
そこで、またケツァール探索に出発するのであった。

まずは、朝一番で訪ねたポイント。

入りました!

いきなりである。
運が向いてきた証拠である。

と思ったら、

トカゲが入りました

というではないか。
がっかりである。

しかしせっかくなので、

「トカゲ、撃ちました」
costarica-19.jpg

結局聞こえたのは、加瀬さんの口笛だけであった。

以上である。


次は、「ケツァールに遭遇できたらお金を払う」という朝方のケツァール・ハンターとは異なる人が所有する農場へ出かけた。

と、見覚えのある土地である。
本家「水曜どうでしょう」班がケツァールに遭遇した、あの農場だ!
期待は否が応でも高まるのであった。

ケツァール探しを忘れ、いきなり記念撮影である。
全くもって本末転倒である。

期待値は上げすぎてはならない。
なぜならば、期待した結果が得られなければ、否が応でも失望度が大きくなるからだ。

この教訓は、見事に当てはまったのである。
待てども、出てこない。
加瀬さんの口笛も、聞こえないのである。

しかし、

○※△◇#

聞こえるではないか!
加瀬さんの口笛ではない。
間違いなく、ケツァールである。
が、あまりにも遠い。
遠すぎる。
姿の確認は困難であった。

加瀬さんは、焦るわけである。
既にケツァールに遭遇したとはいえ、やはりもう一度見せたい、と。
プロである。
そこで、聞き込みを開始するのである。農場主に。

農場主は答えるのである。

ここには、ケツァールはいない。

えぇ!?
そりゃまた、どーして!?

農場主は落ち着いて答えてくれるわけである。
「ケツァールが餌を食い尽くした。だから、今はいない。そのうち餌が実り始めたら、まだ戻ってくる。」と。
というわけで、どうでしょう農園来場の記念撮影だけが収穫であった。

でもないのである。

もう一つ、有力な情報をゲットしたのである。
セニョール・マリーノ、に関する情報である。

マリーノ
本家「水曜どうでしょう」の番組に登場した、ケツァール・ガイド、である。
加瀬さんにマリーノ探しを依頼していたのだ。
サベグレ到着以降、加瀬さんにはひたすら「水曜どうでしょう」の魅力を語りつづけてきた。
加瀬さんは言うのである。「その番組は、幸せですね」。
全くその通りである。
このどうでしょう魂に応えてくれたのが、加瀬さんなわけである。
加瀬さんが本末転倒な心意気でマリーノ探しを始めたなど、真っ赤な嘘なのである。

すると、農場主は答えるのである。

「マリーノという名の人間は、サベグレには一人しかいない。」

いきなり凄い情報である。
が、凄いのはこれだけには止まらない。

「マリーノは、サベグレ・マウンテン・ホテルにいる」

というではないか!
特ダネである。

ケツァールには会えなかったが、ケツァールに遭遇した程の喜びに浸って、この日のケツァール探索を終了したのであった。

加瀬さんは聞いてくるのである。

会えば、マリーノってわかりますよね?

わかっていなかったのであった(爆)。


2004年3月8日夜

晩飯である。
ホテルの従業員がわんさか集まってくるのである。
あとは、マリーノ探しである。

マリーノはヒゲがあった。
そこで、ヒゲのおじさんに尋問するわけである。

「お前、マリーノだろ」

と。
ハズレであった。

加瀬さんは、聞き込みを始めるわけである。
が、残念な情報が飛び込んできた。

「マリーノは、“今は”このホテルにいない」

今は、の時間軸が重要だ。

「明日の朝7時に来る」

らしい。
何故か。
夜は働く気はないらしい。
なんとものんきである。

ともかく一安心である。

が、旅行会社はこれだけでは終われない。
新たな“ネタ”を仕入れてくるのである。

マリーノには弟がいます

素晴らしい。
家族構成情報までゲットできるとは感激である。

しかし、驚くのはまだ早い。
ここからが凄いのだ。

その弟は、本家『水曜どうでしょう』班の撮影時に、兄のマリーノと取材に同行していました

となれば、弟と記念撮影をしなければならない。

「その弟は、本家『水曜どうでしょう』班が路線バスで国道を下りて、国道沿いで待っていたのを迎えに行った」張本人である

というではないか。
しかも、

今、その『マリーノの弟』本人から話を聞いてきました

というではないか。

兄「マリーノ」とは異なり、働き者である。

と、目の前を通り過ぎる、ではないか。
マリーノの弟が。

マリーノの弟は言うわけである。

俺と写真撮るなら、百万ドルよこせ」、と。

 “百万ドルの笑顔”とで交渉成立である

ということで、
costarica-03.jpg

さて、奇跡の遭遇を演出してくれた加瀬さんである。
加瀬さんはつぶやくのであった。

「私にとってはマリーノの弟、ではなくマリーノが“ロナンドの兄”、なんだけどなぁ」

いや、マリーノの弟です(笑)。

こうしてケツァール探索の二日目は幕を閉じたのであった。


2004年3月9日午前

マリーノである。
朝、7時になったので、マリーノ探索を開始するのである。
すると、いるではないか、マリーノが。

遂に対面である。

と、マリーノは聞いてくるのである。

昨日はケツァール見られて良かったな

なんでそんなこと知ってんだ!
不思議なのである。
あまり不思議がっていてもしょうがないので、さっさと記念撮影を済ませるわけである。
costarica-04.jpg

しかし、撮影が終わっても、気になるのである。
なんで昨日の話を知っているんだ、と。

この謎は、直ぐ解けるのであった。
昨日のケツァール探索で、
若い女性二名を引き連れていた、
あの、
ヒゲのケツァール・ガイド
である!!

というわけで、以上、終了である。

こうして、「ケツァールに遭遇できるまで延泊する」という計画できたこのツアーも、無事目的を果たし、このサベグレを後にするのであった。

第2部・完

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