ケツァール激写に成功した興奮に酔いしれている中、まだまだトレイルを続行するのであった。 しかし、夕暮れであることに変わりはないので、あと10分だけトレイルを続け、10分後にホテルへ引き返す、こととした。 ケツァール遭遇から5分が経過した。 ガイドなしでのケツァール遭遇という奇跡が早々、続くはずはない。 そう諦めかけた瞬間であった。 「○※△◇#」 例の声である。 近づいているのである。 そして、 また、 視界に「入りました!」 先ほどの1羽がまた目の前に現れたのだ! ただし、声はするものの、もう一羽は視界に入らない。 とにかく後は、撃つだけである。 「撃ちました」 ![]() 感無量である。 もう、激写成功すると、心に余裕が生まれる。 帰り道は、楽チンなものである。 恐らくここに間違いない、という場所で記念撮影をするのである。 本家「水曜どうでしょう」班がTV番組中で「引き返して釣りでもしよう」と決断したポイントである。 完全に勝ち誇った気分で記念撮影をするわけだ。 実に気分が良い。 ホテルに着くなり、加瀬さんに報告するわけである。 激写成功、をである。 加瀬さんは後日、自身のHP(2004 年3月7日:2泊3日がこの旅に該当)で報告している。ご一読あれ。 で、加瀬さんである。 素人だけでのケツァール遭遇に、少々肩を落とし気味であった。 嫌がらせをしているわけではないだけに、可哀想であった。 というわけで、ケツァールに遭遇できませんでした。 というのは真っ赤な嘘なのであった。 ケツァールの写真は、絵はがきを撮影したものなのだ。 だははははは。 2004年3月8日午前 いよいよ、ガイドをつけてのケツァール探索である。 ホテルから離れた農場へ向かう。 この農場の持ち主、ケツァール・ハンターの異名があるらしい。 期待大である。 早速、探索開始である。 5分が経過した・・・・・・・ 10分が経過した・・・・・・ 15分が経過した・・・・・・ 「○※△◇#」 おぉ!聞き覚えがあるぞ!この声。 早速加瀬さんに聞くわけである。 「ケツァールですね!」 加瀬さんは落ち着き払って、こう答えるのである。 「私の口笛です」 と。 20分が経過した・・・・・・ と、ケツァール・ハンターから不思議なしぐさをするではないか。 期待で胸がバクバクなるのである。 すると、ケツァール・ハンターは言うのである。 「今日はここには来そうもないね」 えぇ!? なぬぅ!? 来ないだぁ!? 以上、終了である。 と、ケツァール・ハンターはバイクに乗り出すではないか。 どうやら、ケツァールを見つけられなかったために、逃げ出すことを決意したらしい。 と思ったら、 別のポイントに移動するのだという。 さすがである。 プロである。 次なるポイント。 いきなりである。 「あそこを見ろ」 とケツァール・ハンターは指を指すのである。 巣があるという。 そこに、今、雄がいると言うではないか。 シャッターチャンス、である。 と、 姿が見えない。 そのはずである。 尾っぽしか見えないのである。 頭隠して尻隠さず とは、まさにこのことである。 ![]() そして、ケツァール・ハンターはさらに続けるのである。 「待て」 と。 曰く、 今は雌が食事中なのだと。 じきに戻ってきて、雄と入れ替わる、 と。 特ダネである。 ケツァール・ハンターはそう言い残すと、自らの使命終了と判断し、帰っていくのであった。 というわけで、持久戦の開始である。 待つ のである。 ひたすら、 待つのである。 加瀬さんは、岩の上に横になって、寝始める。 別のヒゲのケツァール・ハンターが若い女性に名を引き連れてきた。 彼も、ケツァールの巣の存在を知っているようだ。 未だ待つ状況であることはかわりない。 どれくらい待っただろうか。 「○※△◇#」 あの声が聞こえるではないか! 早速加瀬さんに聞くわけである。 「ケツァールですね!」 加瀬さんは落ち着き払って、こう答えるのである。 「私の口笛です」 と。 再びである。 敗北である。 また聞こえるわけである。 「○※△◇#」 二度あることは三度あるのである。 口笛である。 無視、である。 無視、に限るわけである。 だから、無視、を決め込もうとすると… ヒゲのケツァール・ハンターの様子がおかしい。 加瀬さんも様子がおかしい。 と、 「入りました!」 ケツァール、である。 遂に、雌が帰ってきたのである。 まだ、木陰に隠れている。 自分視界には、まだ、入らない。 と、ケツァールが移動したらしい。 「はいりました!」 「ピピッ! カシャッ!」 「入ってます!」 「ピピッ! カシャッ!」 再び、激写成功である。 ![]() 「ピピッ! カシャッ!」 「ピピッ! カシャッ!」 「ピピッ! カシャッ!」 「ピピッ! カシャッ!」 「ピピッ! カシャッ!」 「ピピッ! カシャッ!」 「ピピッ! カシャッ!」 「ピピッ! カシャッ!」 「ピピッ! カシャッ!」 「ピピッ! カシャッ!」 「ピピッ! カシャッ!」 「ピピッ! カシャッ!」 「ピピッ! カシャッ!」 「ピピッ! カシャッ!」 「ピピッ! カシャッ!」 「ピピッ! カシャッ!」 「ピピッ! カシャッ!」 「ピピッ! カシャッ!」 「ピピッ! カシャッ!」 「ピピッ! カシャッ!」 ![]() ここぞと言わんばかりにシャッターを押すのであった。 こうして、ケツァールとの遭遇を再び果たすことができたのである。 飛ぶ姿はやはり撮影することができなかった。 しかし、頭上を長~い尾っぽを見せびらかすかの様に飛んでいく、という加瀬さんも「今まで見たことない」という程の美しい姿を披露してくれたりしたのであ る。 こうして、幻の鳥の激写は成功に終わったのである。 少なくとも、この時点では。 そう、信じていたのだった… 2004年3月8日昼間 ケツァールとの遭遇と激写。 これに成功したら、もう、余裕である。 ケツァールは朝方と夕方に活発に活動する。 昼間はあまり遭遇できないのである。 ということで、きれいな滝を見ようと滝トレイルに出かけた。 さらに、馬にも乗って山登りをしてみた。 完全に本題を忘れ、観光客気分に浸ったのである。 2004年3月8日夕方 再び鳥が活動を活発にする夕刻になった。 ケツァール遭遇との確率が高まる時間帯である。 そこで、またケツァール探索に出発するのであった。 まずは、朝一番で訪ねたポイント。 「入りました!」 いきなりである。 運が向いてきた証拠である。 と思ったら、 「トカゲが入りました」 というではないか。 がっかりである。 しかしせっかくなので、 「トカゲ、撃ちました」 ![]() 結局聞こえたのは、加瀬さんの口笛だけであった。 以上である。 次は、「ケツァールに遭遇できたらお金を払う」という朝方のケツァール・ハンターとは異なる人が所有する農場へ出かけた。 と、見覚えのある土地である。 本家「水曜どうでしょう」班がケツァールに遭遇した、あの農場だ! 期待は否が応でも高まるのであった。 ケツァール探しを忘れ、いきなり記念撮影である。 全くもって本末転倒である。 期待値は上げすぎてはならない。 なぜならば、期待した結果が得られなければ、否が応でも失望度が大きくなるからだ。 この教訓は、見事に当てはまったのである。 待てども、出てこない。 加瀬さんの口笛も、聞こえないのである。 しかし、 「○※△◇#」 聞こえるではないか! 加瀬さんの口笛ではない。 間違いなく、ケツァールである。 が、あまりにも遠い。 遠すぎる。 姿の確認は困難であった。 加瀬さんは、焦るわけである。 既にケツァールに遭遇したとはいえ、やはりもう一度見せたい、と。 プロである。 そこで、聞き込みを開始するのである。農場主に。 農場主は答えるのである。 「ここには、ケツァールはいない。」
えぇ!? そりゃまた、どーして!? 農場主は落ち着いて答えてくれるわけである。 「ケツァールが餌を食い尽くした。だから、今はいない。そのうち餌が実り始めたら、まだ戻ってくる。」と。 というわけで、どうでしょう農園来場の記念撮影だけが収穫であった。 でもないのである。 もう一つ、有力な情報をゲットしたのである。 セニョール・マリーノ、に関する情報である。 マリーノ。 本家「水曜どうでしょう」の番組に登場した、ケツァール・ガイド、である。 加瀬さんにマリーノ探しを依頼していたのだ。 サベグレ到着以降、加瀬さんにはひたすら「水曜どうでしょう」の魅力を語りつづけてきた。 加瀬さんは言うのである。「その番組は、幸せですね」。 全くその通りである。 このどうでしょう魂に応えてくれたのが、加瀬さんなわけである。 加瀬さんが本末転倒な心意気でマリーノ探しを始めたなど、真っ赤な嘘なのである。 すると、農場主は答えるのである。 「マリーノという名の人間は、サベグレには一人しかいない。」 いきなり凄い情報である。 が、凄いのはこれだけには止まらない。 「マリーノは、サベグレ・マウンテン・ホテルにいる」 というではないか! 特ダネである。 ケツァールには会えなかったが、ケツァールに遭遇した程の喜びに浸って、この日のケツァール探索を終了したのであった。 加瀬さんは聞いてくるのである。 「会えば、マリーノってわかりますよね?」 わかっていなかったのであった(爆)。 2004年3月8日夜 晩飯である。 ホテルの従業員がわんさか集まってくるのである。 あとは、マリーノ探しである。 マリーノはヒゲがあった。 そこで、ヒゲのおじさんに尋問するわけである。 「お前、マリーノだろ」 と。 ハズレであった。 加瀬さんは、聞き込みを始めるわけである。 が、残念な情報が飛び込んできた。 「マリーノは、“今は”このホテルにいない」 今は、の時間軸が重要だ。 「明日の朝7時に来る」 らしい。 何故か。 夜は働く気はないらしい。 なんとものんきである。 ともかく一安心である。 が、旅行会社はこれだけでは終われない。 新たな“ネタ”を仕入れてくるのである。 「マリーノには弟がいます」 素晴らしい。 家族構成情報までゲットできるとは感激である。 しかし、驚くのはまだ早い。 ここからが凄いのだ。 「その弟は、本家『水曜どうでしょう』班の撮影時に、兄のマリーノと取材に同行していました」 となれば、弟と記念撮影をしなければならない。 「その弟は、本家『水曜どうでしょう』班が路線バスで国道を下りて、国道沿いで待っていたのを迎えに行った」張本人である というではないか。 しかも、 「今、その『マリーノの弟』本人から話を聞いてきました」 というではないか。 兄「マリーノ」とは異なり、働き者である。 と、目の前を通り過ぎる、ではないか。 マリーノの弟が。 マリーノの弟は言うわけである。 「俺と写真撮るなら、百万ドルよこせ」、と。 “百万ドルの笑顔”とで交渉成立である。 ということで、 ![]() さて、奇跡の遭遇を演出してくれた加瀬さんである。 加瀬さんはつぶやくのであった。 「私にとってはマリーノの弟、ではなくマリーノが“ロナンドの兄”、なんだけどなぁ」 いや、マリーノの弟です(笑)。 こうしてケツァール探索の二日目は幕を閉じたのであった。 2004年3月9日午前 マリーノである。 朝、7時になったので、マリーノ探索を開始するのである。 すると、いるではないか、マリーノが。 遂に対面である。 と、マリーノは聞いてくるのである。 「昨日はケツァール見られて良かったな」 なんでそんなこと知ってんだ! 不思議なのである。 あまり不思議がっていてもしょうがないので、さっさと記念撮影を済ませるわけである。 ![]() しかし、撮影が終わっても、気になるのである。 なんで昨日の話を知っているんだ、と。 この謎は、直ぐ解けるのであった。 昨日のケツァール探索で、 若い女性二名を引き連れていた、 あの、 ヒゲのケツァール・ガイド、 である!! というわけで、以上、終了である。 こうして、「ケツァールに遭遇できるまで延泊する」という計画できたこのツアーも、無事目的を果たし、このサベグレを後にするのであった。 |