スクリーンが真っ赤である。 スパイダーマンならこの真っ赤、理解できる。 しかし、Harry Potterは“黒”のはずだ。 赤、なんてあり得ない。 しかし、 である。 あり得なかったのは、 どうやら、 自分自身だったことが判明するのであった。 画面いっぱいに映し出される映画の題名。 それは、 「ス パイダーマン2」 全席指定の映画館である。 僕の席はE-8である。 シアター4のE-8である。 が、 しかし、 座っていたのは、 シアター3のE-8・・・ 偶然とは恐ろしいものである。 シアター3のE-8には客はいなかったのである。 故に、 誰も、 僕の存在を、 不思議に思わないのである。 凍りついたのは、言うまでもない。 同時に腰を抜かした。 席を立とうにも、 立てない。 結局、本編129分のスパイダーマン2を見終えて、映画館を後にしたのであった。 完 |