“小豆島うどん専門店完全制覇の旅” 3/4page

1店舗目「三太郎」

原「いやぁ〜うまいっすねぇ」
山田「そーでしょ、そーでしょ」

    

二人とも余裕である。

2店舗目「すえ宏」
山田「うどんと梅干って合うんだね」
原「うぉ〜、すげー組み合わせ!うぅ、確かにうまい!」

    

まだまだ余裕である。

3店舗目「さぬき庵」
店のご主人「八王子から来たの?」(原の車のナンバーが八王子)

とちょこっと話に花が咲く。

3杯くらいならば、まだまだ余裕。

  

と、ここで妙な問いかけを山田さんがしてくる。

山田「昨日の夜、あまりお菓子とかを食べてなかったよね?原君。」
原「えぇ、食べてませんね。」
山田「もしかして、今日に備えて控えてたの?」
原「あったりまえです!」
山田「本当に!?」

山田がこの企画をなめてかかっていたことが判明した瞬間であった。


4店舗目「瀬戸」

1店舗目からこの4店舗目までは非常に近くにあり、ほんの2〜3分のインターバルがあるだけでうどんを注文する状態。さすがにちょっと・・・となりかけなくもない。が、

山田・原「うまい!」

絶好調?である。

  
  

各店舗でうどんを食した後、原と山田は後輩に店名と一言感想を携帯電話メールで送りつけていた。

当然、この企画がどのような企画なのか教えていない。とにかく“店名”と“一言感想”のみなのだ。
例えば、この瀬戸で食した後は「かまげうどん、ゆでかげんぜちみょう」(絶妙、のこと。タイプミス)、てな感じである。
変換するのが面倒なため、ひたすら平仮名で送信していたのである。
 

このメールをひたすら受信し続けていた、いや、迷惑メールを受信させられていた!?同じゼミの後輩から山田に電話がかかってきた。ようは、「バカやってますね」と呆れているらしかった。

そして、原にもメールが届いた。
 

「四国で修行中ですね」


小豆島うどん専門店完全制覇の旅、という企画など全く教えておらずひたすらうどん屋の店名と一言感想を送っていただけなのに、見事にこの企画を見抜いている、卓越した洞察力を持つ後輩からのメールであった。
 

「まさかそんな何件も食べ比べているんですか・・・」


彼は「うなぎ食べ比べツアー」を企画した張本人である。このうなぎ食べ比べは1日に2食のうなぎを食べる、という企画だった。既に4店舗も短期間の間に食べ比べている我々を羨ましく思ったことは想像に難くない。今後はこのような企画には彼を誘わなければならない。

こうして、原と山田は優越感に浸りながら、次の店「やすごろう」へと向かった。

そう、優越感に浸っている、はずだった・・・

山田「あのさぁ・・・」
原「(う、まさか『弱音吐いちゃおうかなぁ』なんて言い出さないよなぁ)」
山田「既に苦しくなってきたんだけど・・・」
原「(うぎゃぁ〜)」

山田さん、戦意喪失しかけてる!まずい!そこで原は戦意を高揚させるべく山田に説教を始めるのであった。

原「山田さぁ〜ん、こんな“バカ”な挑戦はそうそう簡単にできるもんではないですよぉ〜。良いのですかぁ?ここで音をあげてぇ〜。」
山田「う〜ん・・・」

原「いいですか、次、こんな企画を誰がやろうと言い出すんですか?二度とないチャンスなんですよ。」
山田「う〜ん・・・確かに・・・」
原「大食いではなくて、完全制覇、ですよ。良い響きではないですか。小豆島でうどんを食べた、だけだったら全然ネタになりません。誰だって食べるもの。でも、小豆島にあるうどん専門店を『完全制覇』したとなれば、話は違いますよね?『どうだぁ〜』って感じで話ができるわけですよ。それを途中で諦めるなんて、何を言い出しているんですかっ!」


ネタにする必要があるか否かに関して、冷静に考えてはならない。
間違っても覚えたての「why?」とか「so what?」なんて口走ってはならないのである。

とにかく、走り始めた以上完走が必須なのである。
 

ともかく、5店舗目へ向かう車中、原の必死の!?説得が続くのであった。


5店舗目「やすごろう」

山田「ちょっと、お散歩しません?お腹いっぱい」

なぜか丁寧語。弱気な証拠である。

店の前は海岸になっていたので、ちょっとお散歩した。そして、5店舗目へ突入。
結果、二人が小豆島で最も気に入ったお店となった。

    

と、ここで先ほどのうなぎ食べ比べ主催者から入電。「原さん食べ過ぎ」。彼が地団太を踏んでいる姿が目に浮かぶ。

6店舗目「夕陽亭」
5店舗目まで、原は余計なおかずがつかない素のうどん系に絞って食してきた。
しかし、この6店舗目、ガイドブックに「たこてんぷらが絶品」と書いてあり、思わず注文してしまった。
この脂っこいてんぷら、原の寿命を縮める結果となった。

  

原「山田さぁ〜ん、てんぷら失敗です。お腹が急に膨れてきた感じがします」
山田「胃腸薬とか持ってない?」

全然会話になってない(^_^);。
ともかくここで二人とも胃腸薬(粉末)を投入したのであった。
 

ここで我々は温泉を目指した。

ハーブ温泉なるものがある、ということでそこで小腹をすかすことができないかと考えたのだ。
というのは本当であるが、4時間全速力で食べ続けてきたのでとにかく休憩をしたかった。
たかがうどん、しかし、「されどうどん」である。
6杯もうどんを食べれば、さすがにきつい。

で、温泉で回復したかといえば、そんなことはなかったのである(涙)。


7店舗目「ゑびすや」

ここまで我々は各人が1杯のうどんを食して来た。
しかし、限界であった。そこで、あらかじめ店側に「1杯のうどんを二人で食べて良いか?」という確認を取ってから入店する、という「一杯の掛けそば」ならぬ「一杯のうどん」作戦を展開することとなった。刻々と変化する環境に対処し、適切な戦術を採用するこの我々の行動は、さすが経営学を専攻しただけのことはあると言えるだろう!?

  

  

店員「二つのどんぶりに分けた方が良いですよね?」
細心の心配りである。こーゆー店は繁盛するのだ。

こうして、我々は無事7店舗目を制覇することができた。
 

さて、ガイドブックには小豆島にうどん専門店が10店舗以上あることになっている。
しかし、日曜日という曜日の問題、営業時間、そしてフェリーの時刻、とが関係し、残る小豆島のうどん専門店は1店舗となった。


遂に最後の店、8店舗目「松亭」

二人で一杯のうどんを食べる、という確認をとったはずなのに、店員は「マジかよ?」という顔つきで我々を見るのであった。「マジ」なんだよね、これが。

二人「最後だねぇ〜」

  

  

達成感で胸が一杯である。しかし、物理的にも胸はいっぱいなのだ(^_^)v。

山田「半分も食べられないくらい、苦しいよぉ〜」
昨日、深夜に余計なものを食べたのがマズイんだよぉ〜。戦略教えてるんだからさぁ〜(^_^);。


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